梅雨になると姿をよく見かけるカタツムリですが、
あのかわいい姿は”殻”を背負っているから!?
もし殻がなかったらナメクジなのか?と思うと、
さらに殻に興味がそそられます。
そのカタツムリの殻ですが、一体何でできているのか、殻を取ったらどうなるのか、気になりますよね。
陸上の生物なのに、何と!
貝殻やエビやカニの殻と同じような成分らしいのです。
不思議ですね。
そこで今回は、そんなカタツムリの殻に注目し、
殻の成分や、”殻の中身”はどうなっているのか、
という疑問について解説いたします。
カタツムリの殻の中身はなに?
カタツムリの殻は不思議な構造を持っており、
研究された成果が近年の建築技術にも生かされています。
そんなカタツムリの”殻”の中身は、
一体どんな状態になっているのでしょうか。
カタツムリはヤドカリのように成長とともに殻を出て、
また他の殻に入るという”転居”のような行動はしません。
カタツムリは生まれた時からすでに殻を持って卵から出てきて、
成長とともに殻も大きくなっていきます。
出たり入ったりはできないのです。
簡単に言うと、
カタツムリの身と殻は引っ付いていて、
殻は体の一部なのです。
カタツムリの殻の中身、
それはカタツムリの内臓ということです。
もし無理やり引き離そうとしたら、
カタツムリは内臓が出て死んでしまいます。
カタツムリは、殻に引っ込むことができるようになっているから、
内臓である殻に付いた身は、
殻の渦巻きのひと巻き分くらいなのだそうですよ。
カタツムリは乾燥に弱く、
夏も土に潜って”夏眠”しますが、
うまくいかないと、中身本体が乾燥して縮み、
ついには殻だけになってしまいます。
子供時代に殻だけになって転がっているカタツムリを見つけたことが、
誰でも一度はあるのではないでしょうか。
カタツムリの殻の成分とは?
カタツムリは巻貝の仲間で殻は、
海の生物である貝の殻や、
エビやカニなどの甲殻類の殻と同じ成分でできています。
カタツムリの殻は炭酸カルシウムが主成分の”石灰質”でできていて、
非常に硬くて丈夫です。
さらに表面は”キチン質”という物質の層でおおわれています。
キチン質は、近年化粧品にも利用される“キトサン”を精製するのに使われていて、
よく知られるようになっています。
カタツムリの殻は丈夫なので、
カタツムリが死んで中身がなくなってしまっても、
殻だけは土に還らず残り、土の上に転がっていることがあるのです。
そもそも地球が出来たとき、生物が誕生したのは海で、
そこから陸上に上がるものが出てきて、
現在までに進化の歴史をたどりました。
カタツムリが海の生物と同じ成分の殻を持っているのも、
不思議ではないことなのですね。
ちなみに、植木鉢の底をのぞくと見つけられる「ダンゴムシ」も、
元々は海の生物の甲殻類から進化したものです。
ところで、カタツムリとよく似た、
というより殻がないだけのような「ナメクジ」も、
梅雨近くなるとよく見かけますよね。
家庭菜園を楽しむ人を困らせる”害虫”とされるナメクジは、
本当にカタツムリとよく似た生物で、
実のところ、違いは“殻を持つかどうか“だけなのだそうです。
それでは、殻が取れたらカタツムリもナメクジになるのかというと、
そうではありません。
長い進化の課程の中で、
身軽に生活することを選び、
殻を持たなくなった種が今のナメクジなのです。
ナメクジは殻を見つけても、
ヤドカリのように中に入ってカタツムリにはなれません。
反対にカタツムリも、
殻が嫌になって捨ててしまい、
ナメクジになることはできません。
どちらが進化形と見るかはわかりませんが、
一長一短があるような気がしますよね。
まとめ
赤ちゃんカタツムリは、
卵から孵った時からすでに殻を持っていて、
殻は体の一部です。
成長とともに殻も大きくなっていき、カタツムリは一生その殻から抜け出ることはなく、
無理やり引っ張り出したら、死んでしまいます。
カタツムリの丈夫な殻の主成分は炭酸カルシウムで、
たまに塀やコンクリートの上で見かけるのは、
カルシウム補給の目的があるからなのです。
カタツムリも、この世界で生きるために動きはゆっくりですが、
しっかり生活していることがわかります。
見つけたら、見守りつつそっと応援してあげたいですね。